文科省が動いた日。地方創生“社会実装30%”という実績 (ep.1)
おちつき地方創生ラジオ 第1回(EP.001)/配信日: 2026.06.16/再生時間: 01:04:59
この回の概要
この回を聴くと、地方創生の現場を走ってきた上田敏孝が国から注目され始めた瞬間の空気と、その裏側にある「教育投資」という思想の全体像がわかります。番組は上田敏孝(一般社団法人地方WEB3連携協会代表理事)とかねりん(KANERIN Podcast Studios代表)のダブルMCで、地方創生という「ふわっとして分かりにくい」テーマを、社内報も兼ねながら現場のリアルな言葉で語り直す企画の第1回です。冒頭でかねりんは、テキストの報告だけでは熱量が伝わらず、理事全員と毎回話す時間も取れないため、対談形式で活動を可視化したいという番組の狙いを説明しています。かねりんが手がける「落ち着き」シリーズの他番組と違い、地方創生という言葉自体が自分にとって一番「落ち着けない」ふわっとした対象だったため、現場の本音を聞きながら落ち着きたいという命名の由来も語られました。
最大のトピックは、上田が今週文部科学省を訪問したという報告です。きっかけは、協会が展開する「リージョンリンク」というプロジェクトのプレスリリースでした。リージョンリンクは、10代の若者が知らない地方に行き、自らその土地の課題を発見し、ビジネスアイデアを考えてビジコンで発表し、社会実装まで目指すという取り組みで、すでに3年間続いています。一般的なビジコンは大人があらかじめ課題を用意して子どもに考えさせる「レールを引く」形が多いのに対し、リージョンリンクは「レールは自ら引け」という方針で、課題発見そのものを子どもに委ねている点が特徴です。この取り組みで、実際に行政の予算がついたり企業が投資したりする段階まで進んだ事業アイデアの割合は約30%(正式29%)にのぼり、一般的なビジコンの1〜3%を大きく上回るといいます。北海道乙部町のふるさと納税の検討や、熊本市でリージョンリンク発の「サードプレイスカフェ」の企画が実際に行政の施設として実現した例も紹介されました。このプレスリリースを見た文部科学省の担当者から直接Facebookでコンタクトがあり、上田はスーツで正式に訪問。協会の活動全般について高く評価されたといいます。文科省が目指すのは起業そのものではなく「自分自身で考え判断し、一歩踏み出す生きる力」であり、それがリージョンリンクの理念と重なっていたことが今回のつながりの背景にあります。あわせて、アントレプレナーシップ教育のコミュニティ「JET-ALL」への加盟申請や、学校が無料で講演を呼べる「推進大使」制度についても触れられ、協会が学校と国の間をつなぐハブとして機能し始めている様子が語られました。ある打ち合わせでは「民間事業者の認定制度に学校が入るメリットは何か」と問われたそうですが、上田は「全国で一番社会実装できているビジネスアイデアの実績があり、そのノウハウで子どもたちのアイデアを社会につなげる責任を持っている」と説明し、納得を得られたというエピソードも紹介されました。
もうひとつの軸は、探究学習の現場格差という話題です。文科省が推進する「探究」は、学校によって熱量に大きな差があり、テーマ設定から先生任せで「調べ学習」で終わってしまう学校がある一方、突出して熱心な先生が一人でカリキュラムを支えている学校もあるという実態が語られました。先生の業務量が減らない中で、こうした「神先生」に頼らざるを得ない構造そのものが課題だと上田は指摘します。協会はこうした先生たちを、講演や探究支援、事業アイデアの壁打ち相談などを通じて無償で支援しており、その活動を「支援」ではなく「教育投資」だと位置づけています。10代には大人の想像を超える可能性があり、その子どもたちが育つことで巡り巡って学校や地域からの仕事が協会に還元されているという実感も語られました。
番組の後半では、協会の組織再編の裏側にも触れています。実動部隊であるコミュニティ「RXDAO」を合同会社化する構想を10ヶ月かけて検討したものの、5月に業務執行社員候補全員と面談した結果、それぞれが本当にこのまま進んでよいか迷っていることが分かり、最終的に合同会社は作らず、社団法人がそのまま実業も兼ねる形で進めるという結論に至った経緯が明かされました。
雑談パートでは、かねりんが暑い日でも派手なジャケットを脱がない理由や、過去にスタイリストと出会って見せ方を作り込んでいった経験、そして上田自身が「自分は脇役でいい」と思いながらも代表としてのブランディングに悩んでいるという本音のやりとりもありました。真面目な国とのやりとりと、元刑事のかねりんならではのつっこみが同居する、記念すべき第1回です。次週は上田が事業立案アドバイザーとして関わってきた岩手県岩泉町への訪問、埼玉県の高校での探究活動支援が予告されました。
目次(タイムスタンプ)
- 0:00:00 オープニング/番組趣旨:地方創生を“落ち着いて”知る
- 0:05:54 今週の山場:文部科学省へ訪問(プレスリリース→Facebookで直接連絡)
- 0:06:45 リージョンリンクとは:10代が地方で課題発見→ビジコン→社会実装
- 0:07:56 「レールは自ら引け」一般的なビジコンとの決定的な違い
- 0:09:05 社会実装“約30%”の衝撃(一般は1〜3%)
- 0:13:05 探究活動の現場実態:学校間の熱量差・“神先生”頼みの構造
- 0:18:32 全国30校・各県2校の無償支援ハブという挑戦
- 0:19:44 文科省からの直接コンタクトと「生き抜く力」
- 0:26:35 JET-ALL(Japan Entrepreneurship Alliance)/推進大使/民間が認定を出す意味
- 0:30:00 (脱線)かねりんのファッション論・上田のブランディングの悩み
- 0:47:00 「支援は非営利、実業は営利」——教育“投資”という考え方
- 0:52:08 組織再編の舞台裏:合同会社化を10ヶ月やって「作らない」と決断
- 0:59:37 来週予告:岩手県岩泉町
- 1:02:00 エンディング
この回でわかること(Q&A)
「リージョンリンク」とはどんな取り組みですか。
10代の若者が知らない地方に行き、自ら地域の課題を発見してビジネスアイデアを考え、ビジコンで発表して社会実装を目指すプロジェクトです。大人が課題を用意する一般的なビジコンと異なり「レールは自ら引け」という方針を掲げ、3年間続けられています。
社会実装率30%とはどういう数字ですか。
リージョンリンクで考えられたビジネスアイデアのうち、行政の予算がついたり企業が投資したりする段階まで進んだ割合が約30%(正式29%)だったということです。一般的なビジコンの実装率は1〜3%程度とされ、大きな差があると語られました。
なぜ文部科学省から連絡が来たのですか。
協会がリージョンリンクの実績についてプレスリリースを出したところ、日常的にプレスリリースをチェックしていた文部科学省の担当者がプロフィールを確認した上で、直接Facebookでコンタクトしてきたことがきっかけでした。その後、上田がスーツで正式に訪問し、意見交換を行いました。
探究学習の現場にはどんな課題がありますか。
文科省が推進する探究活動は学校ごとの熱量差が大きく、テーマ設定から先生任せで「調べ学習」に終わる学校がある一方、突出して熱心な先生一人の頑張りでカリキュラムが成り立っている学校もあるという実態が語られました。
なぜ協会は自分たちの活動を「支援」ではなく「教育投資」と呼んでいるのですか。
10代には大人の想像を超える可能性があり、その子どもたちの成長を支えることが巡り巡って学校や地域からの仕事という形で協会に還元されているためです。見返りを求めない一方通行のボランティアではなく、将来へのリターンを見込んだ投資だという考え方が語られました。
合同会社化の検討はどうなったのですか。
実動部隊であるコミュニティ「RXDAO」の合同会社化を10ヶ月かけて検討しましたが、5月に業務執行社員候補全員と面談した結果、それぞれが迷いを抱えていることが分かり、最終的に合同会社は作らず、社団法人がそのまま実業も兼ねる形で進めることに決まりました。
この回を聴く
おちつき地方創生ラジオは、毎日、全国の地域や学校をまわる上田敏孝が、現場で見た“地方創生のリアル”を語り、かねりんが本音で聞いていく対談番組。そわそわする地方創生が、おちつく。毎週更新。