起業に「会社を辞めろ」はいらない。副業から始める堅実な起業 (ep.3)
おちつき地方創生ラジオ 第3回(EP.003)/配信日: 2026.06.21/再生時間: 01:09:55
この回の概要
第3回のテーマは「行動する勇気」です。この回を聴くと、国が推し進めるアントレプレナーシップ教育の背景と、上田敏孝が今週訪れた奈良育英高校・鈴鹿高校の探究授業の現場で実際に何が起きたか、「起業は会社を辞めなくてもできる」という上田自身の実体験に基づく持論、そして「親は子どもの何を保護する存在なのか」という保護者論までが分かります。
ハイライトは後半、上田が鈴鹿高等学校の探究コースに通う高校1年生65人に向けて行った講演の実話です。生徒たちを興味関心の熱量が上がるタイプ別に直感で4つのグループへ分けたところ、1人だけのグループができるなど偏りが生まれました。続けて3分間で企画を考えさせ、グループごとに代表者を選んで1分間ずつ発表し合い、他グループのオーディエンスがどちらの企画に心を動かされたかで勝敗を決めるゲームを行ったところ、誰も手を挙げない沈黙が続き、代表者もなかなか決まりませんでした。最後にいじられる形で選ばれた男子生徒が発表を担うことになり、周囲から茶化されながらも1回目、2回目と発表を重ねるうちに、声の大きさと意思の込め方が明らかに変わっていったといいます。その過程で上田は、代表を茶化す生徒たちに対して「選んだのはお前たちだろう、バカにするな」と本気で叱った場面もあったと明かしました。他のグループでも、恥ずかしさを乗り越えて発表者を交代したり、聴衆に響くよう内容を練り直したりする生徒が現れ、誰からも指導されないまま生徒たち自身の力で失敗と改善を繰り返していく様子が見られたといいます。教員は3年間生徒に向き合い信頼関係や進学まで背負う立場のため、こうした振り切った関わり方は難しく、外部から来る上田だからこそ担える役割だと説明しています。
冒頭では、上田夫婦の週末の過ごし方から話が始まり、経営者にとって仕事と休みの境界が曖昧になりがちだという話に発展しました。上田は、家族といる時間だけは全てのレスポンスが止まる唯一の時間だと述べ、そこまで仕事に紐づけ始めたら末期だという意見でかねりんと一致しています。今週は奈良育英高校と三重県の鈴鹿高校を訪れ、探究学習の現場を見てきたことも冒頭で共有されています。サッカーの強豪校として知られる奈良育英高校では校長先生と対談し、探究学習の視察に加えて、協会が展開するアントレプレナーシップの認定制度についての挨拶も兼ねていたといいます。そこから本題に移り、国が推進するスタートアップ5カ年計画とアントレプレナーシップ教育モデルの背景が解説されました。かねりんが「VUCA(ブーカ)」など専門用語の意味を一つひとつ聞き直す形で、正解のない予測不能な時代だからこそ、生きる力や自己肯定感、非認知能力といった、答えを教わるだけでなく自ら考え行動する力を育てる方針が、岸田政権の頃から6年ほど国レベルで進んでいることが確認されています。
中盤では、上田自身が正社員から契約社員への切り替えを会社に断られて退社した経緯を交えながら、「起業のために会社を辞める必要はない」という持論が展開されました。上田は、いきなり職を投げ打って起業するのはブランド化されたイメージにすぎず、副業で生活の基盤を保ちながら余裕を作ることこそが重要で、起業は数ある選択肢の一つに過ぎないと述べています。かねりんも、SNSに影響されたハイリスク・ローリターンな若い起業への警鐘として、中古車販売バディカの中野社長が語っていたという「シニア起業の方が成功率が高い」という話を紹介し、二人は「キラキラした起業像」に踊らされる必要はないという考えで一致しました。
また、教育と親のバイアスについても踏み込んだ議論がありました。上田は、親が自分の果たせなかった経験を子に投影してしまいがちな構造を指摘し、「保護者」とは子どもの現在だけでなく、子ども自身が人生の主役として歩んでいける未来を保護する存在であるべきだと語っています。終盤では、感情や叱ることはあくまで伝えたいことを届けるための手段の一つであり、ずっと怒っていると効果が薄れる薬のようなものだという上田の考え方も紹介されました。収録後のアフタートークでは、団体の理事の一人がSNSで発信していた「現地に直接触れることの大切さ」という言葉を引き合いに、オンラインで完結できる時代だからこそリアルに足を運ぶことを大切にしているという話もありました。番組の最後には、来週上田が兵庫県に出張し、地方WEB3連携協会が認定するアントレプレナーシップ拠点校の第1号への認定証授与式に向かう予定であることが告知されました。
目次(タイムスタンプ)
- 0:00:00 オープニング/番組紹介
- 0:01:30 今週の上田(週末・洗車・“意外と家族してる”)
- 0:05:11 娘の血液型が初めてわかった話
- 0:06:54 本題:今週は奈良育英高校と鈴鹿へ
- 0:08:30 アントレプレナーシップ教育とは(国の方針・文科省)
- 0:11:09 VUCA(ブーカ)=予測できない時代の教育
- 0:16:01 起業に「会社を辞める」はいらない/副業から始める
- 0:19:02 上田が会社を辞めるまで(契約社員の提案→独立)
- 0:23:00 “キラキラ起業”はSNSの幻想/焦らなくていい
- 0:29:33 教育と親のバイアス/「保護者」は何を保護するのか
- 0:35:53 鈴鹿高校・探究授業(あえて失敗させる講演)
- 0:43:52 手を挙げない・代表が決まらない生徒たち
- 0:48:42 2回目に声が大きくなった少年/“心が動いた”瞬間
- 0:53:35 行動した人だけが前に進む/なぜ教員にはできないのか
- 1:02:33 エンディング
- 1:05:50 アフタートーク(ショート動画/リアルに足を運ぶ意味)
この回でわかること(Q&A)
なぜ「起業のために会社を辞める必要はない」と語られているのか?
上田自身、正社員から契約社員への切り替えを会社に断られて初めて退社した経緯があり、副業で生活の基盤を保ちながら余裕を作ることが重要で、起業はいきなり職を投げ打つものではなく数ある選択肢の一つに過ぎないという持論が語られました。
VUCA(ブーカ)とは何か、この回ではどう説明されたか?
予測できない時代を指す言葉として紹介され、戦争や石油価格の高騰などを例に、正解を教わる教育ではなく生きる力や自己肯定感、自ら考え行動する力を育てるアントレプレナーシップ教育が国の方針として進んでいる文脈で語られました。
鈴鹿高等学校の探究授業で具体的に何が起きたのか?
探究コースの高校1年生65人が4グループに分かれ、代表者を選んで企画を発表するワークショップを行い、誰も手を挙げず沈黙が続く中、いじられて選ばれた男子生徒が発表を重ねるにつれ声が大きくなり、意思の込め方が変わっていった様子が語られました。
なぜ学校の先生ではなく上田のような外部の講師が、あえて生徒を失敗させたり厳しく叱ったりする役割を担うのか?
教員は3年間生徒と向き合い信頼関係や進学まで背負う立場のため、厳しく突き放す関わり方は難しいが、外部から一時的に関わる上田だからこそその役割を担えると説明されました。
SNSで見られる「キラキラした起業」のイメージについてどんな指摘があったか?
かねりんは中古車販売バディカの中野社長の話を引用し、SNSに影響された若い世代のハイリスク・ローリターンな起業は失敗しやすく、40代・50代など経験を積んでからの起業のほうが成功率が高いというデータもあると紹介しました。
「保護者」とは何を保護する存在なのかという議論では何が語られたか?
上田は、親は子の現在だけでなく、子ども自身が人生の主役として歩んでいけるよう「未来」を保護する役割であるべきだとし、親が自分の果たせなかった経験を子に投影してしまいがちな構造についても率直に語りました。
この回を聴く
おちつき地方創生ラジオは、毎日、全国の地域や学校をまわる上田敏孝が、現場で見た“地方創生のリアル”を語り、かねりんが本音で聞いていく対談番組。そわそわする地方創生が、おちつく。毎週更新。