兵庫の学校を巡って見えた「教育投資」のリアル (ep.4)
おちつき地方創生ラジオ 第4回(EP.004)/配信日: 2026.06.28/再生時間: 01:31:14
この回の概要
今回は、地方創生活動の「稼ぎ方」の裏側と、上田敏孝が兵庫県で回った3つの学校のリアル、そして地方自治体の新しい資金調達手段「デジタル地方債」までが分かる回です。学校の先生が身を削って動いている実例や、上田自身の人付き合いに対するかなり率直な価値観も語られています。
もっとも重要なのは、上田が団体で掲げる「支援ではなく教育投資」という考え方と、その裏付けとなる収益還元の仕組みです。上田はあるFacebook投稿への言及から、民間事業者が無償で関わり始めると割を食う構造への問題提起に共感しつつ、自分たちが重要拠点校を無償にしているのは支援ではなく子どもたちへの教育投資なのだと説明しました。高校生が地域でビジネスアイデアを考え実装する「リージョンリンク」というプログラムには現在ディスコード上に約2000人が参加しており、毎月の財務状況が公開されています。決済代行サービス「ゼニくる」(上田のもう一つの会社である株式会社DAOが開発)を使うことで、通常のクラウドファンディングでは17〜25%かかる手数料を10%に抑え、そこからリーダー報酬5%、協会の運営費とリーグ運営基金で10%、リーグ全体の積立金5%を差し引いた残り70%を、各チームがそのまま活動資金として使える設計になっているといいます。上田は、有形の報酬だけでもやりがいだけでもなく、その間をグラデーションでつなぎたいと述べ、こうした仕組みを回すことで学校や自治体からお金を取らずに教育支援を続けられると説明しました。
次に大きな比重を占めるのが、上田が今週訪れた兵庫県の3校の話です。赤穂市の青楓館高等学院は、地方WEB3連携協会が定める「重要拠点校」のゼロ期モデル校として第1号の認定を受けました。この学校は元不登校の生徒が多く通う通信制サポート校で、画一的な教育を行わず、市長から出された使われていない公園を安全に使えるようにするミッションなど、地域の課題解決に生徒が取り組むプロジェクトベースドラーニングを採用しています。神戸の滝川第二中学校高等学校では、中学1年生が「地域のヒーロー」をランキングづけするワークショップの後、実際にフィールドワークで本人に会いに行き、進級後に再会できるという設計の探究授業を見学し、警察官によるSNSモラルに関する講演も見学しました。滝川第二では、あえてAIを使わず紙に書いてエントリーシートを作りたいという生徒がいるなど、生徒それぞれの個性がうかがえる場面もあったといいます。姫路の賢明女子学院では、探究導入について管理職や教員と意見交換をしています。重要拠点校は1都道府県につき2校までという枠があるため、兵庫県では滝川第二か賢明女子学院のどちらか1校が次のモデル校に選ばれる見込みです。あわせて、協会の理事を務める現役の学校教員が、依頼書の修正とやり取りを何度も重ねた末に、公立校としては異例となる副業の承認を教育委員会から得た経緯も紹介されました。認定校には認定証も贈られており、地方WEB3連携協会の印鑑デザインに漢字と英字の「Web3」が混在している点が話題になる場面もありました。
もう一つのテーマは「デジタル地方債」です。今年春の法改正でセキュリティトークンを使った電子的な発行が可能になり、これまで紙と印鑑で行っていた地方債のやり取りが大きく変わったことを受け、協会のスポンサー企業であるTISが7月8日13時から1時間半のオンラインセミナーを開催します。上田は、税収が他の自治体に流出してしまう「ふるさと納税」のゼロサム構造と対比しながら、デジタル地方債は金利に加えて地域の特典も付けられる、いわば株主優待のような新しい資金調達の選択肢になり得ると説明しました。
このほか、番組がApple Podcastのドキュメンタリー部門で14位まで上昇したことへの感謝や、中目黒のカフェで打ち合わせ相手から番組を聞いていると声をかけられたエピソード、フォロー・星5評価の付け方を丁寧に案内する場面もありました。上田は、一般的な交流会にはほとんど出席せず、10代の頃からの友人関係と同じように本当に好きだと思える人としか付き合わないという人付き合い観を語り、大切な人を裏切るような不義理をされた際には、腹を立てて会社との関係を絶ったこともあると率直に明かしています。番組の最後には、リスナーの意見を番組や実際の地方創生活動に反映させるためのお便りボックスを新設する告知もありました。
目次(タイムスタンプ)
- 0:00 オープニング 今回のテーマは2つ
- 1:09 1つ目 兵庫県 学校巡りツアー
- 3:43 番組がアップル ドキュメンタリー部門14位に
- 6:28 週1配信と、対談で生まれる熱量
- 11:17 支援ではなく「教育投資」という考え方
- 15:07 リージョンリンク 高校生が地域で実業を立ち上げる
- 17:08 決済サービス「ゼニくる」と財務の公開
- 20:43 頑張った人が報われる社会へ 支援と投資の違い
- 26:48 上田の本音 この番組は俺が始めたかった番組じゃない
- 31:00 人脈ガチャと言われる男 上田の素顔
- 33:00 交流会が嫌い 好きな人としか一緒にいない
- 41:55 本題へ 神戸・明石・姫路の3校をめぐる
- 43:57 青楓館高等学院 重点拠点校の第1号認定
- 49:25 教育のプロは先生 協会は外から支援する
- 52:11 公立校の先生の副業を実現 全国初のケース
- 55:33 滝川第二 地域探究とフィールドワークの授業
- 59:53 警察の講演から考える 伝え方と演出
- 1:03:31 認定証の話と、横浜南陵高校
- 1:08:39 賢明女子学院でのディスカッション
- 1:10:40 2つ目 デジタル地方債とは
- 1:11:46 7月 TISと開くデジタル地方債セミナー
- 1:17:41 次のふるさと納税 ゼロサムを超えて
- 1:20:13 個人も買える金融商品 金利と特典
- 1:23:36 番組×自治体×リスナーの参加型企画へ
- 1:27:10 まとめ
- 1:27:47 エンディング
- 1:28:26 アフタートーク 収録後の雑談
この回でわかること(Q&A)
「リージョンリンク」とはどんなプログラムで、収益はどう分配されるのか?
高校生が地域でビジネスアイデアを考え実装するプログラムで、参加コミュニティは約2000人。決済代行サービス「ゼニくる」の手数料10%に加え、リーダー報酬5%、協会運営費とリーグ運営基金10%、積立金5%を差し引いた残り70%が各チームに還元される仕組みが財務公開とともに紹介されました。
青楓館高等学院はどんな学校か?
兵庫県赤穂市にある通信制サポート校で、入学する生徒の多くが元不登校です。画一的な教育を行わず、プロジェクトベースドラーニングで市長からのミッションなど地域課題に取り組んでおり、地方WEB3連携協会の重要拠点校ゼロ期モデル校の第1号に認定されました。
滝川第二中学校高等学校ではどんな探究授業が行われていたか?
中学1年生が「地域のヒーロー」にランキングをつけるワークショップの後、実際にフィールドワークでその人物に会いに行き、進級後に再会できるという設計の授業が行われていました。あわせて警察官によるSNSモラルに関する講演も見学しています。
なぜ重要拠点校は兵庫県でもう1校しか追加認定されないのか?
支援の質を担保する必要があるため、重要拠点校は1都道府県につき2校までと決められており、青楓館高等学院に続く2校目は滝川第二中学校高等学校か賢明女子学院のいずれかになる見込みだと説明されました。
デジタル地方債とは何か、ふるさと納税とどう違うのか?
今年春の法改正でセキュリティトークンを使った電子的な発行が可能になった地方自治体向けの資金調達手段で、購入者には金利に加えて特典が付く可能性があります。税収が他自治体に流出するゼロサム構造のふるさと納税とは異なる新しい選択肢として紹介されました。
上田さんは人付き合いについてどんな考えを語ったか?
一般的な交流会にはほとんど出席せず、10代の頃から変わらず本当に好きだと思える人としかつながらないと明言し、大切な人を裏切るような不義理をされた際には腹を立てて会社との関係を絶ったこともあると率直に語りました。
この回を聴く
おちつき地方創生ラジオは、毎日、全国の地域や学校をまわる上田敏孝が、現場で見た“地方創生のリアル”を語り、かねりんが本音で聞いていく対談番組。そわそわする地方創生が、おちつく。毎週更新。